よくあるご質問
学校教育現場における、こんな時の著作権は?
映像メディア関係
- Q友人がダビングしたビデオを譲り受け生徒に見せたい。
友人が個人的に楽しむためにダビングすることは私的録画(著作権法第30条第1項)に該当し、自由にできますが、これを第三者に貸与することは私的使用の範囲を超え、明らかに違法行為です。
他方これを譲り受けた教師が生徒に上映することの規定はありません。しかし、ダビングであることを知って、上映することは違法行為に荷担するものとして厳に慎むべきでしょう。
- Q図書館等にあるビデオをダビングし、生徒に見せたい。
図書館にあるビデオを損傷させたくないという意味からダビング(複製)するケースがあります。大学の図書館であればビデオの保存のためにもとのビデオの廃棄を条件としてダビングが認められるケース(著作権法第31条第2項)もありますが、それ以外は著作権者の複製権の侵害となります。したがって図書館であっても貸し出しのためにダビングさせることは許されません。
なお、教師が授業の過程において使用する目的であれば、ダビングは「必要と認められる限度」において認められています(著作権法第35条)。ただし、この場合も、授業での使用が終われば消去するのが望ましいでしょう。
生徒に見せることについては非営利・無料という条件を満たしていれば問題ありません(本学図書館でも授業のためのビデオの貸し出しをしています。)
- Q日本でテレビ放映した映画の録画ビデオを生徒に見せたい。
テレビで放映された映画や番組を録画したビデオを、非営利、無料で生徒に見せることは問題ありません。ただしこれをライブラリ化して保存する行為は必要な限度を超えるものとして許容されない恐れがあります。また売ったり貸したりすることは海賊行為になり、許されないのでご注意ください。
- Q生徒が希望するので所有するビデオをダビングして無料で配布したい。
複製権・頒布権の侵害に該当します。一般に、有料・無料に関わらず、生徒へのダビング提供は、著作権者の利益を不当に害するものとして認められていません。もちろん、授業で使用している映画であってもです。
- Q映画のセリフを出版物からコピーし、テキストに使用したい。
映画のセリフは脚本の一部ですから、脚本家が著作者であり、脚本家または映画会社(著作権を譲渡している場合など)が著作権を有しています。
出版物となっている場合も、通常は脚本家が著作権を有していますが、ケースによっては出版社が著作権を有していることもあります。
また著作権者と出版社が契約を取り交わし、脚本を国内にて出版している場合もあります。出版物からセリフのあるページをコピーする場合も、教師が授業の過程で自ら使用する場合には必要と認められる限度で自由に複製することができます。
ただし、生徒への配布を目的としたコピーや頒布となると印刷物の種類によっては注意が必要です。まず、購入を前提として教育や学習用に出版された問題集などの印刷物をコピーし、配布することは一切できません。
それ以外の出版物(英字新聞等を含む)の場合は、教科書の内容を深めるための必要と認められる限度を生徒の分だけコピーして配布することが可能です。
しかし、出版物の相当量または全体をコピーし、テキストにして生徒に配布する事は、出版物の売り上げに対する影響があり著作者の利益を不当に害することとなると考えられますから著作権者の許諾が必要です。
そのような場合には出版物を購入するようにするべきであるというのが法律のとっている立場だといってもよいでしょう。
ソフトウェア関係
- Qテキスト付録のCD-ROM等のデータやプログラムを学内の共有フォルダに置いて、学生に配布してもいいかどうか。
他人の著作物を校内LANも含め、ネットワークに置くことは、「授業の過程」とは見做されません。 また、語学学習用などの「テキスト付属教材」は、 個々人が購入することを前提としている「種類」のもなので複製配布することはできません。
従って、学習者個々人に購入させている場合でも、教材を共有フォルダに置くには著作権者の許諾が必要です。