追手門学院大学 情報メディア課

教育機関における著作権

教育機関における著作権について

著作権法では、一定の場合に、著作権を制限して著作物を自由に利用することができることになっています。しかし、著作権者の利益を不当に害さないように、また著作物の通常の利用が妨げられないように、その条件が厳密に定められています。
なお、著作権が制限される場合でも、著作者人格権は制限されません。

教育機関における複製(著作権法 第35条第1項)

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、 必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。《改正》平15法085
授業の教材として使用するために複製することを認める規定です。
以下の条件をすべて満たす必要があります。

授業の教材として使用するために複製することを認める規定です。
以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 営利を目的としない教育機関であること
  2. 授業担当の教員またはその授業を受ける者が複製すること
  3. 本人の授業で使用すること
  4. 授業で必要とする限度内(必要部分・必要部数)であること
  5. すでに公表された著作物であること
  6. 著作権者の利益を不当に害さないこと※
  7. 慣行があるときは「出所の明示」をすること

※「著作権の利益を不当に害する」かどうかは、著作物利用市場と衝突するかどうかにより判断される。
⇒ 複製によって市販物の売り上げが低下したり、将来の潜在的販路を阻害したりする場合は不可。

《権利者の利益を不当に害すると考えられる例》

個々の学習者ごとの購入を想定して販売されているワークブック、ドリルなどの一部分のコピー

パソコンソフトウェアのコピー

製本するなど複製物を市販あるいは永久保存に耐えるような形で作成すること

本1冊丸ごとのコピーなど、市販物の全体または相当部分のコピー

複製の部数が数百部になる場合

条件を満たせば、無断でできること

授業の過程における複製

●ダビングした映画を語学の授業で使う。

●学生が新聞、論文の一部をコピーし発表する。 等

「引用」して使用する

●WEB上の資料等を引用した論文を書く。

●学生に書籍の一部を引用したレポートを書かせる。 等

《参考》著作物の引用について

無断でできないこと

以下のようなケースでは、著作権処理または許諾等が必要となります。

【CASE 1】授業の過程における使用に当たらないもの

例:個人的なHP、サークル・研究会・学校のHP、広報紙などに他人の著作物を複製利用する。

テレビで放映された映画や番組を録画したビデオを、非営利、無料で学生に見せたり、学生がビデオを使って発表をすることは問題ありません(後述)。しかし、このダビングしたビデオを他の先生や学生に貸したりすることは、「授業の過程での複製利用」とはみなせず、複製権・頒布権の侵害に該当します。先生・学生が授業で、インターネット上のホームページに登載されている「文章」「写真」「図表」などを、プリントアウトしコピーして無断で配布することは「例外として許されている」ということを十分周知させる必要があります。職場の会議、学生のサークル・研究会などでは、授業と同じ感覚で複製配布を行うと「厳密には違法である行為」(文化庁「著作権テキスト」)となります。


授業で使うWord/PowerPoint文書に他人のホームページに掲載されている文章・写真・イラストを取り込んで利用することはできます。こうした文書を、課題プリントとして当該授業を受講している学生に 配布することもできます。しかし、その文書を授業を受けていない学生にも配布したり、ホームページとしてインターネット上にアップロードするには許諾が必要となります。個人的なホームページであれ、不特定多数の人からのアクセスが可能なために「私的使用」や「授業の過程」という範囲を超えてしまうからです。授業終了後も、その授業を受けていた学習者が利用できるような形で、他人の著作物をホームページ等に無断で掲載することはできません。


ただし、「リンクを張る」ことは自ら複製・送信するわけでもなく、「同一性保持」も満たされますから一般的に著作権侵害にはあたらないと考えられていますので、授業でWEB上の著作物を利用し、保存する場合はできるだけリンクによって当該サイトを直接参照して説明する形態をとるのがよいでしょう。インターネット上のホームページでリンクを張った際、場合によってはその内容とアドレス及びリンクの 趣旨、名前、連絡先などを知らせておくべき道義的必要性が生じます。また、リンクによって他人の ホームページの内容が自分のフレーム内に取り込まれる形式は「同一性保持権」に反します。

【CASE 2】限度を超えた複製

例:授業で使用する著作物を学内LANに蓄積する。

著作権法第35条により著作権者の許諾を得ることなく複製した著作物は、授業の過程における反復使用を必要 とする場合を除いては、本来授業での使用後に廃棄されるべきものであり、これを永久保存するようなことは「必要と認められる範囲」を逸脱すると考えられます。


第35条に「部数及び様態に照らし…」とありますが、これは複製の部数のいかんによっては許諾を受けなければならない、ということです。1クラスの人数概ね50名程度が目安として上記「ガイドライン」 や著作権情報センターの刊行物に記載されています。


この制限には教育者側から異論が出されているようですが、「大学等の大教室での利用」「複数の講座で利用することで結果的に大部数の複製となる場合」、「授業のたびに、同一の新聞・雑誌などのコラ ム、連載記事を継続的に複製する」、「結果として大部分を複製する場合」などは、著作権者の権利主張 の余地がありうることを承知しておくべきでしょう。特に、発行部数の限られた専門書には注意が必要なようです。


なお、35条は「教育を担任する者及び授業を受ける者」として、「授業のために自らが複製する」のを原則としていますが、事務職員に複製を依頼することは可能と考えられています。ただし、業者に依頼すると違法となります。

【CASE 3】著作物の種類・用途

例:購入を前提としたテキストの一部をコピーして使う。

学生が授業を受けるに際し、購入または借り受けて利用することを想定しているもの(記録媒体は問わない)を購入等に代えてコピーすること。たとえば、大学の教科書・テキストとして通常利用される図書をコピーして使用することは、その部数にかかわらず著作権者の利益(財産権)を不当に害することになります。
絶版となっているテキストをやむなくコピーして使用したい場合は出版社に問い合わせた上で、許諾を得ておくとよいでしょう。


ライセンス契約範囲を越えたソフトウェアのインストール使用(雑誌・書籍等の付録CD-ROMも含む)、レンタル用として頒布されたビデオ・DVDのコピーを取り他人に渡すことは貸与・頒布権の侵害となります。コピーガードのかけられたDVD等を「ガードキャンセラ」等で解除してダビングすることは、それがたとえ授業目的であってもその行為自身が違法となります。

【CASE 4】公表された著作物ではない(公表権)

例:学生のレポートを、当人の許諾を得ないでコピーし、授業で使う。

学生の提出したレポートは公表された著作物ではないため、授業の為の利用でも無断で配布することはできません。 学生の許諾を得てそのレポートを印刷したり、学生自身が授業で発表した場合には、以下の点にも注意が必要です。


現行著作権法では、「公衆への公開をもって公表とする」と定義されていますが、この「公衆」の概念が日常のものと少し異なり、 ホームページへの掲載のような「不特定の者」、だけでなく「特定多数の者」も含んでいます。文化庁のガイドラインでは50名以上を 「多数」としているので、大人数の授業で上記印刷物を配布した場合に、「公表された著作物」として無断で「引用」される可能性があります。

【CASE 5】事前の許諾が必要(公表権、肖像権)

例:講演会の録画を取る、公演録を希望者に配布する。

講演も言語の著作物になり、著名人でなくても著作権を有することになるため、その講演の利用については、あらかじめ想定される利用行為を含めた許諾を得ておく必要があります。


例えば、講演だけをする約束で講演会を開催した後で、録画・録音していた映像・音声をメディアに焼いたり、テープ起こしした講演録などを希望者に無料で配布したとします。
講演者にしてみれば、講演のコピーが広く配布されると、次の講演の機会が失われると考えて、そのようなことまで認めていなかったと主張するかもしれません。また、複製物に対しても講演者に内容や表現のチェックをする機会がない場合、事前の了解がなければ著作権侵害を講演者が主張したくもなるでしょう。


主催者側は、「謝金を払って講演してもらったのだから、その講演の著作権は主催者側にある」、「営利目的ではないし、複製物は無料で配布しているため、講演者に対して経済的な不利益を与えてはいない」、「演題、講演者名など出所の明示をしていれば著作物は自由に利用ができる」と思いがちですが、この考え方はいずれも誤りです。


講演会の収録を行う場合、その収録データをもとに印刷やダビングをする場合、さらにはその講演の模様を中継や録画で放送する場合などの利用行為を行うことが明らかであれば、すべて事前に講演者の許諾を得ておく必要があります。また、当初予定しなかった利用を行う場合には、その都度講演者と交渉した方がよいでしょう。


なお、講演者の顔や姿の写真撮影については、著作権法上の権利ではありませんが、判例の蓄積により確立されつつある「肖像権」の関係も生じますので、利用にあたっては事前にその目的や方法を説明した上で利用についての承諾を得ておくべきでしょう。

《参考資料》
  • 平成22年度 教育著作権セミナー資料
    『著作権法の概要-ICT活用教育関係者が知っておきたい著作権-』
    「平成22年度 教育著作権セミナー -教育関係者が知っておきたい著作権-」(配布PPT資料)
    放送大学ICT活用・遠隔教育センター 尾崎 史郎 著
  • 『はじめての著作権講座 著作権って何?』
    『はじめての著作権講座II こんなときあなたは? 著作権Q&A』
    公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)発行
  • 『ケーススタディ著作権 学校教育と著作権』
    大和 淳 著 公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)発行
  • 『デジタル・ネットワーク社会と著作権』
    半田 正夫 著 公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)発行

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